ICRI(International Coral Reef Initiative)
サンゴ礁の生物多様性と国際サンゴ礁イニシアティブ

2009.06.01

サンゴ礁の重要性と現状

パラオのサンゴ礁

Photo:©Kohei Hibino,Palau

熱帯の浅海域では、色とりどりのサンゴや魚たちが棲む「サンゴ礁」を見ることができます。日本でも、琉球列島を中心に南の海に広く分布しています。サンゴ礁は、熱帯雨林とならび、地球上で最も生物多様性が高い場所の一つです。サンゴ礁生態系は、海産資源、観光、娯楽、景観、沿岸保護など、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれており、熱帯・亜熱帯域に住む人々の生活を支える重要な役割を担っています。

その一方で、陸域からの土壌や汚染水などの流入、漁業や観光による過剰な利用、オニヒトデなどの大量発生、海水温の上昇によるサンゴの白化現象、サンゴの病気など、様々な要因によって、世界中のサンゴ礁生態系の劣化が進んでおり、地域社会に悪影響を与えつつあります。

2008年に出版された「世界のサンゴ礁現況報告書2008」(Wilkinson 2008)によると、世界のサンゴ礁のうち、19%が完全に衰退、15%が今後10~20年中に失われる危機に、20%が今後20~40年中に失われる危機に直面していると推定しています。

その一方で、世界の46%のサンゴ礁が比較的健全な状態だとも推定されていて、これらの健全なサンゴ礁をできるだけ後世に残していくとともに、現在危機下にあるサンゴ礁の保全と回復が国際社会の急務となっています。

ICRIとは

パラオのサンゴ礁

Photo:©Kohei Hibino,Palau

このような世界のサンゴ礁の劣化傾向を受けて、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された「アジェンダ21行動計画」では、サンゴ礁保護の重要性が強調され、サンゴ礁を取り巻く現状が世界的に認知されるようになりました。

これを契機に、サンゴ礁と関連生態系(マングローブや海草藻場を含む)の世界的な衰退に歯止めをかけ、健全な状態に回復させることを目的に、国際サンゴ礁イニシアティブ(International Coral Reef Initiative: ICRI)を設立することが、1994年に開催された第1回生物多様性条約締約国会議(CBD-COP1)において発表され、翌年の1995年にICRIの最初の国際ワークショップが開催されました。

ICRIは、サンゴ礁の持続的利用と保全に関わる国や機関などの代表が対等な協力関係のもとで集い議論することができる、ユニークな国際パートナーシップです。ICRIのメンバー国や機関は、ICRI総会や地域ワークショップを通して、サンゴ礁生態系の保全・管理に関する様々な課題や対策について討議し、そこで合意された指針などに基づいて、それぞれの立場で保全・管理に取り組んでいます。

日本はICRIの設立当初から関わってきており、2005年から2007年にかけては、パラオ共和国と共同で事務局を担当するなど、積極的な役割を果たしてきました。

海洋保護区ネットワークと東アジア地域の取組

パラオのサンゴ礁

Photo:©Kohei Hibino,Palau

海域の重要な生態系や生物種を効果的に保全・管理する手段として、海洋保護区(MPA)の設置と管理に対する認識が世界的に高まっています。2002年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)では、2012年までに代表的なMPAネットワークを構築することが国際目標として設定されました。

ICRIでもサンゴ礁と関連生態系の保全においてMPAが有効であることが認識されてきましたが、2012年の国際目標達成に向けてまだ多くの課題が残されているなどから、2007年に東京で開催されたICRI総会において、サンゴ礁と関連生態系を含むMPAネットワークの構築を推進する決議が採択されました。

これらの動きを受けて、東アジア地域においてICRIで主導的役割を担ってきた日本は、2008年11月に東京で「国際サンゴ礁保護区ネットワーク会議/第4回ICRI東アジア地域会合」を開催して、東アジアの各国政府や機関らとともに、2010年に向けて東アジアが優先的に取組むべき課題について議論を行いました。

その結果、海洋保護区ネットワークに関する地域戦略を作成すること、MPAの国際目標に向けた現状や課題を抽出するギャップ分析を行うこと、MPAのデータベースを拡充すること、また、これらの取組を支援するためのICRI地域会合を2009年、2010年と引き続き開催していくことなどが合意されました。

日本は、これら一連の取組の事務局として、今後も地域の各国や機関と連携しながら課題に取組んでいきます。

Written by 荒牧まりさ(環境省自然環境局自然環境計画課)
日比野浩平(財団法人 自然環境研究センター)

引用文献:Wilkinson C (2008) Status of coral reefs of the world: 2008. Global Coral Reef Monitoring Network and Reef and Rainforest Research Centre, Townsville, Australia, 296p.

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関連サイト

ICRI公式ホームページ
http://www.icriforum.org/

ICRI日本語解説サイト
http://www.env.go.jp/nature/biodic/coralreefs/icri/index.html

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