水と生物多様性

水をまもること

2009.06.01

生物多様性と人の社会を育む水

水は様々な形で地球上の生命を育んでいます。最初の生命は、水の中で誕生し、現在も、生物多様性も人間の生活も水なしでは成り立ちません。

わたしたちが自由に使うことのできる淡水は、地球の水の1%にも満たないにも関わらず、膨張しつづける世界の人口は、ますますこの貴重な資源への需要を増やしています。淡水への需要は、すでに世界中の多くの地域で、供給を上回っているのです。

生物多様性も人の社会も危険に直面しています。6人に1人は、安全な飲み水を手に入れることができず、6人に2人は不衛生な環境に生活しています。また、6人のうち4人は水を原因とする疾病に苛まれています。

淡水資源の劣化と減少が問題になっていない地域はないほどです。世界の人口は、特に途上国で増加しており、2050年までに90億人に達すると予測されています。そのため、水をめぐる問題はますます深刻になるでしょう。

水の恵みと危機

人間にとって、水は、直接的に命の綱であると同時に、食料や生計の糧を供給する淡水エコシステムを支えています。漁業、水の浄化、洪水を防ぐ機能なども淡水エコシステムが供給するサービスで、その価値は、毎年数百兆円とも見積もられています。また、水は美しい景色も生み出し、レジャー的な価値ももたらします。

人が使う淡水の7割近くが農業に利用されるものです。近年は、水の流れを利用したエネルギー源としても利用されています。インフラの増加、農業開発、飲料水の需要の拡大、下水道システムなどが、地下の帯水層を干上がらせ、淡水資源を汚染し、水が補充されるべき場所から奪い、淡水エコシステムの維持を妨げているのです。

気候変動の脅威

水に関するもう一つの脅威は、気候変動です。
氷河は今までより消失のスピードが速まっており、降雨パターンが変化しています。各地に大雨や洪水などの水をもたらし、他方では、水不足をもたらしています。

水の温度が上昇し、今まであった場所が干上がっていくことは、淡水エコシステムにとって破局的な状況をもたらすでしょう。気候変動は、狭い地域に集中し簡単に移動ができない淡水の生物多様性にとって、大きな危機なのです。

もっとも危機にさらされているエコシステム

人だけでなく、生物多様性にとっても淡水は重要で貴重な資源です。淡水エコシステムは、比類なき生物種を支えていますが、海洋に比べ15倍以上も絶滅の比率が高く、もっとも危機にさらされています。淡水エコシステムとそれに支えられている生物多様性を守ることは、世界的な優先課題なのです。しかしながら、保全と人間の野望と要求は、しばしば衝突してしまいます。淡水の生物多様性と人間の双方に利益をもたらす解決方法を見出さなくてはなりません。