気候変動と生物多様性

気候変動と生物多様性

2009.05.25

現在地球の人口は60億人を超え、今後もその数は増加すると見込まれています。また産業革命以降、人類は大量生産・大量消費・大量廃棄という経済システムを構築しました。そして日々の生活において大量の二酸化炭素を排出しています。さらに今後途上国において人口が増加し、エネルギー消費が急激に増えることで、ますます二酸化炭素の排出が増加することも懸念されています。

一方、このような人間活動により排出されている温室効果ガスが地球の気候を保っているともいえます。もしこの温室効果ガスが存在しないと、地球の平均気温は-18度まで下がると言われています。つまり、適度な温室効果ガスは人間の生存にプラスに働いてくれるのです。
しかし、産業革命以降に人間活動により排出された温室効果ガスによって大気中の温室効果ガス濃度は急激に上昇を続けており、そのことによってさまざまな影響が地球に及ぼされることが今問題視されています。これが気候変動(地球温暖化)問題です。

2007年に発表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書は、気候変化が既に世界中の地域の自然と社会に影響を与えていることが明らかになったと報告しています。生物環境については、観測された約3万個所のうち、90%において、気候変動の影響が有意に現れています。

またこの報告書によると、「過去100 年(1906―2005年)に、世界平均気温が長期的に0.74℃上昇しており、特に過去50年間の長期傾向は、過去100 年のほぼ2 倍であり、また、1980 年から1999 年までに比べ、21 世紀末(2090 年から2099 年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、約1.8℃(1.1℃~2.9℃)である一方、化石エネルギーを使用し高い経済成長を実現する社会では約4.0℃(2.4℃~6.4℃)と発表されました。

この地球の気温上昇は自然界に様々な影響を与えます。例えば生物多様性の減少と生息環境の変化、森林破壊、砂漠化、土壌劣化、熱帯低気圧の強大化による災害の増加などです。また、2099年までに最高で59センチメートルの海面上昇や、海洋の酸性化も予測されています。

気候変動(温暖化)は、発芽や鳥の渡り、産卵行動などの早期化をもたらし、動植物がより高い緯度や高い場所へ生息域を移動させたり、北極及び南極の生態系などに変化をもたらたりしています。また、多くの地域の湖沼や河川、サンゴ礁においても水温上昇により生態系への大きな影響が表れます。さらに、熱帯性の疾病を運搬する蚊などの分布拡大による被害の拡大も懸念されています。

多くの生態系は、このまま気候の変動が続くと、回復する力がなくなってしまう可能性が高いと心配されています。全球平均気温の上昇が1.5~2.5℃を超えた場合、植物及び動物種の約20~30%に絶滅のリスクが増加する可能性が高いといわれています。