美と自然
2010.06.03
Photo:©Takehiko Sato
皆さんは生物多様性をどんな時に、どのように感じているだろうか。身近な食や医薬品、散歩で出会うちょっとした自然、文化、科学、経済などを通じその感じ方は様々だと思う。ここでは、生き物を追いかけ野山を駆け回るフォトグラファー・佐藤岳彦の感じた生物多様性の世界を、フィールドからのつぶやきとともに紹介したい。生き物たちの織り成す色や形、表情、生態などに少しでも触れていただければ幸いである。そんな第1回目はイリオモテヤマネコで有名な西表島が舞台だ。
「 ここでしか会えない顔 」
Photo:©Takehiko Sato
何時間も山を登り、源流域でようやく出会ったコガタハナサキガエルOdorrana utsunomiyaorum。世界でも西表島と石垣島でしか会えない顔だ。IUCNレッドリスト、環境省レッドリストではともに絶滅危惧IB類にランクされており、絶滅が危ぶまれている。
「 樹肌のキャンバス 」
Photo:©Takehiko Sato
差し込む陽光。浮かぶ樹肌。森は自然の織り成す作品で溢れていた。
「 水面のミナミトビハゼ Periophthalmus argentilineatus 」
Photo:©Takehiko Sato
互いに身を沈めて顔を見合わせる。マングローブ林内の木漏れ日がスポットライトのように彼の顔を照らしていた。私はしばしその横顔に見惚れていたが、無理な体勢に耐え切れずおもむろに立ち上がった。すると体中から水がこぼれ落ち、彼は水面を走るように去って行った。
「 生き物たちの交通事故 」
Photo:©Takehiko Sato
徹夜の生き物探し。気がつけば東の空は焼け始め、道路上にはヤエヤマセマルハコガメCuora flavomarginata evelynae が現れた。島のいたるところで見かける本種だが、もちろん車道にも出没するので交通事故に巻き込まれることもある。この島ではカエルやヘビ、虫、鳥、イリオモテヤマネコなど生き物たちの交通事故が後を絶たない。
「 可愛い森の分解者 」
Photo:©Takehiko Sato
シロアリの中でも私の一押しはタカサゴシロアリNasutitermes takasagoensis の兵蟻だ。チャームポイントはその可憐な曲線を描く雫型の頭で、尖った先端からは防御物質を噴射し敵を撃退してしまう。ちなみに、本種は家屋を食い荒らす害虫ではなく森でひっそりと暮らす分解者である。
「 島を潤す豊かな水系 」
Photo:©Takehiko Sato
うだるような暑い日。生き物の気配を探りながら、こんな川をせっせと歩き続ける。西表島は水系の発達した島であり、沖縄県下最長の浦内川をはじめ大小多くの川が流れる。
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仙台市出身。生物多様性の織り成す世界に魅せられ、大学院で生物学を学びながら、写真を撮りつづけている。日本各地や海外を旅し、生き物を追いかけ、見つめ、その表現を常に模索している。