コンサベーションandキッズ

子どもたちは自然と遊ぶ天才児

2009.07.14

都会の子も田舎の子もない時代

王子の森・自然学校(2008)での様子

初めてであった子ども同士でも、自然の中で一緒に遊べばみんな友達 Photo:©ホールアース研究所

比較的自然が豊かな地方で育った私が小学生の頃にしたことと言えば、学校の授業が終わると友達と一緒に、近所の野山に山菜を取りに行ったり、カブトムシやクワガタを捕まえに行ったり、授業で使うからといって神社の池でカエルの卵塊を山のように採ってみたら、その卵から生まれた子が実はサンショウウオだったり、夏の夕方にバケツを持って森に行き、セミの羽化する前の蛹?をバケツ一杯に捕まえては部屋の中に放して羽化の様子を朝まで観察したり、トンボのお尻に紐を付けて遊んでみたり、川で遊べばヤツメやヒルに血を吸われたり・・・と、思えば、随分めちゃくちゃな自然体験をしたものだと思います。同じ学校の子どもたちの多くが、ごく普通にこんな体験をしていました。

しかしこれは、今は昔の話です。

私たちの事務所は東京・新宿です。以前いた近所のビルはオフィスビルではないため、朝、私が事務所に通勤するのと入れ替わりで、そのビルにお住まいのご家庭の子どもたちが学校に通って行く姿を目にします。そのときふと思ったのは、この子たちと自分の自然観(というといささか大袈裟ですが)は、相当に違うだろうということです。

もちろん、どっちが良いとか悪いとかという話しではありませんし、むしろ今の子どもたちの方が、より体系的に自然と人との関わりや、生態系についても学んでいると思われます。TVゲームで遊んだり、塾通いや習い事に子どもたちが日々追われていることを思うと、もはや都会の子と田舎の子という区別はありません。

自然と遊ぼう、自然に学ぼう!

王子の森・自然学校(2008)での様子

紙漉で作ったハガキにキャンプの思い出を書いておばあちゃんに送りました Photo:©人間科学研究所

子どもたち向けには、生物多様性についても知識で学ぶより、まずは自然の中で「思いっきり遊んで楽しむ」ことが、とても大切だと考えています。私たちが自然体験活動を通じた環境教育に力を注ぐのも、まさにそのためです。

私たち日本環境教育フォーラム(以下、JEEF)では、自然体験型の環境教育を日本やアジアに普及させるために、指導者の育成、プログラムの開発、自然学校の開設などを進めています。特に子どもたちに対しては、例えば企業がCSR活動として自然体験活動の機会をより多く提供できるような働きかけを行い、協働で事業を実施しています。

実際のプログラムは全国各地のJEEF会員が、趣向を凝らして企画・運営しています。生物の多様性を子どもたちに理解してもらうのは至難の業です。それは大人ですらそうなのですが、幸いなことに子どもたちは、自然の中に解き放つと、あっという間に溶け込んでいける能力を持っています。様々なアクティビティ、ツリークライミングあり、川遊びあり、絵を描いてみたり、ネイチャークラフトを作ってみたり、ワクワクドキドキのナイトハイクに出かけてみたり、時には虫に刺されたり怪我をしてみたり、自然の中で様々な体験を重ねながら、自然と自分たちが何となく繋がっていることを、体験して学んでいく力を備えています。

大人の役割

森が育む豊かな海で思いっきりスノーケリング! Photo:©くすの木自然館

プログラムに参加したご父兄から頂く声として、子どもが少し大人になって帰ってきたよ、というのがあります。自然体験を通じて、他の子どもたちとの意見交換や合意形成の難しさを感じながらも、みんなと力を合わせることの大切さについても学べるからでしょう。また、子どもなりにも環境問題についての問題意識を持つことができたためかも知れません。

過去に文部科学省が実施した調査で、自然体験活動の経験の多い子どもほど、親の手伝いを進んでしたり、礼儀正しかったり、協調性があるのではという結果もあります。これは共同生活を通じて育まれたことかもしれませんが、子どもが自分自身と自然との位置関係について、漠然とではあっても理解が進んだためなのかもしれません。

人類が自然の中の一員であることを体験的に学ぶ機会を提供するのは大人の役割であり、その体験から、地球には様々な生き物たちがいて、多様性そのものの大切さや自然のもたらす恵みの恩恵にどれだけ私たちがあずかっているかを、子どもたちが学べることが大切なのだと思います。

大人はあくまでもその引き立て役。自分たちの未来を自分たちで考えていくために、自然体験活動がそのきっかけになればと私たちは願っています。

日本環境教育フォーラムのホームページでは、環境関連のイベントや自然体験活動の予定を、多数紹介しています。
http://www.jeef.or.jp/php4/stej/common/top.html
自然体験施設の情報は、こちらに掲載されています。
http://www.env.go.jp/nature/nats/ntr/index.html
子ども向けに開発したプログラムもホームページで公開しております。
http://www.jeef.or.jp/about/kyozai.html
ぜひ、ご活用下さい。

Written by 京極徹(JEEF)