ロード to Nagoya COP10
2009.05.07
ナゴヤ・ロードマップ Photo:©Watash Project
ナゴヤ・ロードマップと呼ばれる資料があることをご存知でしょうか。
A4一枚に2010年10月の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)および第5回カルタヘナ議定書会議(MOP5)までに行われる関連国際会議の名称や開催地・期間などが書かれている資料です。ロードマップとは、直訳すれば道路地図。私たちが、ある目的地に向かうために、右折や左折のタイミング、場合によってはサービスエリアでの休憩など、必要な道のり・いつどこで何をするかを考えるのに必要なものです。
このJHSのサイトでも話題のCBD-COP10/MOP5(以下、COP10)については、海外でも「生物多様性サミット」とも呼ばれ、2010年目標に代わる次の世界目標(仮にポスト2010年目標と呼びましょう)や遺伝資源へのアクセスやそこから得られる利益の衡平・公正な配分(ABS)に関する国際枠組みが決まります。
ナゴヤ・ロードマップとは、ある目的地=「ポスト2010年目標を決める」ために必要な道のりやいつどこで何を検討するかを考える基礎資料となるのです。
さて、COP10で物事が決まるというのは何を意味するのでしょうか?世界中の人々と合意形成を計る(何かを決める)という方法はいくつもあります。「多数決」や「代表者を選出しての話し合い」などなど。生物多様性条約では、191カ国による総意(コンセンサス)によって、合意形成をおこない、その成果を、決議(Decision)という文書でまとめていきます。
決議の種類や意味合いも様々です。世界レベルで活動していくプログラムを決めることもあれば、グルーバルスタンダードを決定することもあります(COP9では、「生物多様性上重要な海域を特定するための基準」が定められた)。
もっと実務的な話で、次のCOPまでの2年間の予算や各国の供出金額を決めるといったことも決議であり、COPの参加国全員で会議のホスト国に感謝の意を表するということも決議されます。
経済力も文化も、抱えている生物多様性上の課題も異なる国が、191カ国集まり、そこで総意で物事を決めていくというのは、困難な仕事です。先進国と発展途上国の間で利害が対立する案件には、何段階もの合意形成の場が持たれるのです。
ポスト2010年目標に向けての合意形成は、報告書や国際会議が複雑に影響を与えあい、関連しあいながら行われる見込みです。 主要文書としては、
関連する会合も、第14回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)や第3回「条約の実施検証作業部会」(WGRI)などがあります。
これまでにない初の試みとして注目されるのは、首脳・国家元首レベルでの評価です。2010年9月、ちょうどCOP10の一ヶ月前に開催される国連総会において、2010年目標の成果やポスト2010年目標を検討するハイレベル会合が1日かけて開催されます。これまでのCOPでも閣僚級会合が開催されるなど、環境大臣レベルでの取り組みはありましたが、政治的な取り組みをさらに拡大して、首脳レベルにまで高めていく予定です。さて、その時、議長国日本としてポスト2010年目標のビジョンを語る日本の総理大臣は誰なのでしょうか?
ポスト2010年目標については、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が、日本自然保護協会などと共同して、2010年目標検証のための国際シンポジウムを企画して、世界に発信することを計画しています。
ポスト2010年目標については、2009年5月段階ではまだまだ未知数ですが、COP10にむけて世界各地で議論と合意形成が進んでいます。
ポスト2010年目標作りに何か貢献したい!という方もいると思います。そんな読者の皆さんにご紹介です。
2007年12月の国連総会決議によって、2010年を「国連国際生物多様性年」にすることが決まりました。世界全体で、2010年の1年間を生物多様性の普及啓発キャンペーンに充てる予定です。今回のキャンペーンのポイントの一つとして、「生物多様性の損失速度を顕著に抑える」という2010年目標を"地域レベルで達成した事例"を集めるということが計画されています。
つまり、生物多様性の損失速度を抑えた=未来に希望が持てるような日本での事例も、積極的に発信することが期待されているのです。 キャンペーンのスタートは2010年の1月から、まだまだ時間はありますので、読者の皆さんがこれまで培ってきた活動の中から、未来に向けたヒント・アイデアを、まとめておいてはいかがでしょう。
Written by 道家哲平(日本自然保護協会)
【ナゴヤ・ロードマップ】
※2008年10月に示されたナゴヤ・ロードマップ 国際動向に合わせ、一部のイベントには変更・追加があります。
http://www.cbd.int/doc/meetings/cop-bureau/cop-bur-2008/cop-bur-2008-10-draft-calendar-intersessional-mtgs-en.pdf