CBD/COP10

COP10支援委が上海市を正式招待-「都市と生物多様性」テーマに協議へ

2010.07.09

上海市関係者に招待状を手渡しあいさつする稲垣隆司・元愛知県副知事(右)と小林寛司・COP10支援実行委員会事務局長(左)

上海市関係者に招待状を手渡しあいさつする稲垣隆司・元愛知県副知事(右)と小林寛司・COP10支援実行委員会事務局長(左)
© Taketo Sekiguchi

10月の名古屋でのCOP10開催に合わせ、地元の政財界でつくるCOP10支援実行委員会は、中国・上海市を正式に名古屋へ招待する方針を決めました。都市と生物多様性が重要テーマの一つであるCOP10にとって、上海万博をはじめとして大規模な都市開発を進める上海市の参加は不可欠で、世界的な注目も集まると判断。5-7日にかけて上海市で行われた環境関連の国際会議に実行委事務局長らが出席し、異例の"直接誘致"に乗り出しました。その模様を現地からレポートします。

上海市が招待されるのはCOP10本会議会期中の10月24-26日に名古屋市内で開かれる「生物多様性国際自治体会議」。支援実行委と生物多様性条約事務局(カナダ)などが共催し、生物多様性保全に向けて自治体が果たす役割などについて議論します。各国領事館などを通じて海外約180都市に招待状を送付し、国内外200以上の自治体の参加を見込んでいますが、上海市の正式な参加は決まっていませんでした。

しかし、2005年に地元で開かれた愛・地球博(愛知万博)が上海万博への理念継承を意識していることや、現地での国際会議に名古屋大学の研究者が参加することなどから、急きょ事務局としても訪問することになりました。

現地で開かれた会議は、上海市北部の崇明(すうめい)島の開発問題を話し合う「上海崇明生態島国際フォーラム」です。
沖縄本島と同じ規模の大きさにラムサール条約登録湿地を有する崇明島は、上海市のなかにあってこれまで大きな開発を免れてきました。中国政府は2004年、この島全体を「生態島(エコアイランド)」として環境保全と開発を両立させるモデル地区にする方針を表明。世界各国から開発計画の提案を募るなど、内外の注目を集めてきました。一方で、万博開幕に合わせて橋やトンネルを開通した結果、市街から島を訪れる観光客が急増。日本にもやってくる渡り鳥の中継地でもある湿地の環境に、深刻な影響が現れ始めています。

この島の問題をグローバルな視野で話し合ってもらおうと、上海市科学技術委員会が主催して2006年から国際会議が開かれてきました。今回、初めて愛知・名古屋の関係者が出席し、COP10開催国として中国や欧米の専門家ら約100人とともに助言や提言を求められたのです。

ラムサール条約登録湿地が広がる上海・崇明島。開発と自然保護の両立が問われている

ラムサール条約登録湿地が広がる上海・崇明島。開発と自然保護の両立が問われている
© Taketo Sekiguchi

7日の閉会式に、元愛知県副知事の稲垣隆司・愛知工業大客員教授が「低炭素社会の実現と生物多様性の保全は世界的に重要な課題。COP10を機にぜひ愛知・名古屋に来てほしい」とあいさつ。支援実行委の小林寛司事務局長が上海市長あての招待状を上海市科学技術委員会社会発展所のグオ・ハオミン副所長に手渡しました。また、会議では日本のノウハウを採り入れた環境教育の実現に向けて、日本の法人と現地政府が協力することも確認されました。

グオ副所長は私のインタビューにこう答えました。
 「上海でも近年、生物多様性の問題は非常に重要視されるようになり、外来種の研究などが進んでいる。具体的な調整はこれからだが、専門家を中心に参加することになるだろう」

小林事務局長は「自治体会議はこれまでヨーロッパやアフリカの国の参加が多く、少しでも多くアジアの都市に参加してほしい。特に上海は経済の急速な発展で都市と生物多様性の矛盾が顕在化していることだろうから、それらの問題を同じアジアの日本で開かれるCOP10の場で話し合うことは大きな意義がある」と話しました。

今回、私も万博会場をはじめとした上海の街をよく見歩きましたが、その成長や変化のスピードはすさまじいものがあります。かつて日本が経験した公害問題や都市問題が、圧倒的なスケールでこの街の人や自然をのみ込んでいるように感じます。上海の人たちに学んでもらうこと、私たちがそこから学ぶことは多いでしょう。

Reported by関口威人・ジャーナリスト from Shanghai)