国際
2010.03.08

南アメリカ南東部に棲息するラプラタカワイルカ。毎年多くの個体が刺し網の被害にあっているという。
ハクジラの仲間が、漁業で混獲されることによって減少し続け、絶滅の危機にさらされていることを、国連環境計画(UNEP)・ボン条約(CMS:移動性野生動物の種の保全に関する条約)事務局が2010年2月4日に発表しました。ハクジラ種全体の86%にとって一番の脅威とは、刺し網、罠、しかけ、巾着網、延縄、トロール網に絡まって死んでしまうことです。また、食料不足や魚の乱獲による食生活の変化によって、さらなる13種が脅かされています。
この調査報告は、ボン条約のウェブサイト(*)上に掲載されています。全種類のハクジラが、IUCNレッドリストの危機度順に掲載されたポスターも初めて作成され、ウェブサイトからダウンロードすることができます。
このサイトで紹介されているハクジラ全72種事典(*)には、これらハクジラ群の分布、移動、習性、脅威についての、最新の科学的研究結果が載せられています。現在分かっているそれぞれの種の分布図は、IUCNと世界哺乳類アセスメントによって提供されたものです。
UNEP・CMSの事務総長であるエリザベス・ムレマ氏は、「生物多様性国際年の間、移動性生物の保全に関する取り組みにおいては、引き続き、混獲、海洋雑音の影響、気候変動といった大きな脅威から、これらのカリスマ的な海洋哺乳類を保護することに努めます。移動性生物の保全を目標とする行動計画を実行するためには、政府はさらなる努力をしなくてはなりません。」と発言しました。
ハクジラは、海洋から淡水、北極圏から熱帯地方にいたるまで、広範囲に分布しています。種によっては、アマゾン川、ガンジス川、インダス川、長江といった大きな河系に生息するものもいます。全ハクジラ種のうち41種類のハクジラについては、分かっていることが余りに少ないので、脅威にさらされているかどうかも定かではありません。しかしながら、ウェブサイトに掲載されている、付録Ⅰ(*)の6種のハクジラは、絶滅の危機に瀕していることが分かっています。
ボン条約は、渡り鳥、トナカイ、クジラ、ウミガメ、昆虫類などの移動性動物の種と生息地の保護について、研究調査や保全のための国際的なガイドラインを取り決めているものです。2010年2月1日現在、113カ国と機関が加盟していますが、日本は、ボン条約に加盟していません。
【関連リンク】
*ボン条約のウェブサイト
http://www.cms.int
*ハクジラ全72種事典(ハクジラのポスターはこちらからダウンロードできます)
http://www.cms.int/reports/small_cetaceans/contents.htm
*付録Ⅰ
http://www.cms.int/documents/appendix/Appendices_COP9_E.pdf