CBD/COP10

ポスト2010年目標の原案をCBD事務局が公開

2010.03.24

アオスジアゲハ

アオスジアゲハ。岡山市にて撮影。
photo : © Hisashi Okura

CBD事務局は2月17日、「ポスト2010年目標」の原案をウェブサイト上で明らかにしました。5月にケニアで開催予定のSBSTTA(科学技術助言補助機関)とWGRIの会合、および10月の名古屋でのCOP10に向けて、新たな国際目標の枠組みを提示したものです。

国際目標(案)は2020年を目標年として、まず使命(Mission)が掲げられ、5つの戦略目標(Strategic Goal)のもと、20のターゲット(Target)に分けられています。概略は以下の通り(逐語訳もしくは定訳ではありません)。この国際目標原案は、2010年以降の"戦略計画(Strategic Plan 2011-2020)"の中心となります。

<使命> Mission
生物多様性条約の理念と3つの目的を次の方法で達成する。
・生物多様性の損失を食い止めるための緊急の行動をとる。
・2020年までに、生物多様性にかかる圧力を軽減し、絶滅を防ぎ、生態系を回復させ、生態系サービスを高め、そこから得られる利益を衡平に分かち合う。それにより、人類の福祉と貧困の削減に貢献する。また、これらを実行するための手段を締約国に提供する。

<戦略目標A> Strategic Goal A
生物多様性を社会の主要な関心事とすることで、生物多様性の損失の根本的な原因に取り組む。
Target 1:2020年までに、すべての人が生物多様性の価値を意識できており、それを守るためにとるべき手順も理解されている。
Target 2:2020年までに、生物多様性の価値がエコシステム・アプローチを手法として、すべての国で資産として計上されている。国家・地方戦略や計画立案プロセス、産業界の活動において、生物多様性の価値に対する配慮がなされている。
Target 3:2020年までに、生物多様性にとって有害な補助金が廃止され、生物多様性の保全と持続可能な利用のためのインセンティブが開発され、導入されている。
Target 4:2020年までに、各国政府とあらゆるステイクホルダーは、生態学的な制限の範囲内で、生物資源を持続可能な方法で利用する計画を策定し、実行に移している。

<戦略目標B> Strategic Goal B
生物多様性への直接的な圧力を軽減し、持続可能な利用を促進させる。
Target 5:2020年までに、森林をはじめとする野生の動植物の生息地の損失と劣化を半減させる。
Target 6:2020年までに、過剰な漁獲や破壊的な漁業が停止されている。
Target 7:2020年までに、農業、養殖業、林業が行われているすべての場所が持続可能な方法で管理されている。
Target 8:2020年までに、過剰な肥料の使用やその他の原因による汚染が、生態学的な許容範囲内に収まっている。
Target 9:2020年までに、侵略的な外来種の導入経路が制御されており、定着した侵略的外来種の特定がなされ、優先順位がつけられて、封じ込めや駆除がなされている。
Target 10:2020年までに、サンゴ礁やその他の気候変動・海洋の酸性化に対して脆弱な生態系への圧力が軽減され、そうした生態系が健全に機能している。

<戦略目標C> Strategic Goal C
生態系の多様性、生物種の多様性、遺伝的多様性を守る。
Target 11:2020年までに、陸・海域の少なくとも15%が、特に生物多様性の観点から重要な場所を含めて、効果的に管理された保護区のネットワークやその他の方法を通じて保全され、陸海域の景観を形作っている。
Target 12:絶滅危惧種として知られている種の絶滅が阻止されている。
Target 13:2020年までに、農業生態系における穀物と家畜、およびその近縁の野生種の遺伝的多様性の状態が改善している。

<戦略目標D> Strategic Goal D
生物多様性および生態系から得られる利益を高める。
Target 14:2020年までに、重要な生態系サービスを提供し、地域の生活を成り立たせている生態系が、保全されるか回復の過程にある。そうした生態系サービスを適切かつ衡平に享受することが、すべての人々、とりわけ先住民族や地域住民のコミュニティ、貧困層、社会的弱者に保障されている。
Target 15:2020年までに、保全と再生によって、生態系の回復と炭素の吸収・固定に対する生物多様性の働きが高まり、気候変動への緩和と適応、砂漠化防止に貢献している。ここには、劣化した森林地帯の少なくとも15%が再生されることが含まれる。

<戦略目標E> Strategic Goal E
計画立案や知識の活用、能力の向上によって、生物多様性の保全と持続可能な利用、および遺伝資源の利用から生じる利益の公正で衡平な配分を促進する。
Target 16:2020年までに、各締約国はその生物多様性国家戦略の実行を通して、「戦略計画」の使命、目標、ターゲットの達成に貢献する。
Target 17:2020年までに、ABSに関する国際的枠組(international regime)と整合性がとれる形で、遺伝資源へのアクセスが向上し、利益が共有されるようになっている。
Target 18:2020年までに、伝統的知識と創意工夫、社会的慣行が保護され、生物多様性の保全と持続可能な管理への貢献が認知されて、高められている。
Target 19:2020年までに、生物多様性、その価値と機能、現状と傾向、それを失うことによって起きる結果への知識と技術が改善され、広く共有されている。
Target 20:2020年までに、生物多様性条約を実行するのに必要な人的資源と資金が10倍増になっている。

(ver.20100324)

Written by Hisashi Okura

英文原案へのリンク(PDFファイル)