国際

2010年2月2日、世界湿地デーにおける生物多様性条約ジョグラフ事務局長のメッセージ

2010.02.04

北海道の湿原

北海道の湿原。水辺は生き物の大事な休息地・生息地になっている。
photo : © CIジャパン

世界の湿地の保全を目的としたラムサール条約が1971年2月2日に採択されたことを記念して、毎年2月2日は「世界湿地の日(World Wetlands Day)」とされています。「今年の世界湿地デーのテーマ「湿地を守る‐気候変動への答え」では、生物多様性を賢明に管理するチャンスに着眼しています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動による生態系や人間への 主な影響の大半は地球の水の循環を通して実感できるとしており、2010年5月に生物多様性条約事務局より公表される地球規模生物多様性概況第3版でも、湿地はもっとも危機的状況にある生態系に類するとされるでしょう。

湿地は、気候変動の主要因である温室効果ガスの排出削減において重要な役割を果たしています。地表のわずか6%を覆う湿地は、地球上の炭素の約35%を蓄え、泥炭地は世界の森林バイオマスにある2倍の量の炭素を長期間蓄えます。湿地の多くは、特に強力な温室効果ガスであるメタンも大量に蓄えているので、効果的な湿地保全は賢明かつ費用対効果の高い方法と言えるでしょう。さらに健全な湿地は水の循環調節においても重要な役割を果たしています。気候変動に増える旱ばつや洪水に伴うコストは莫大です。

自然災害が、通常低所得国のGDPの14%以上を常時削減しており、より所得の高い国においてはその関連コストは年間5,000億ドルになります。世界中で起きた破壊的な洪水は、記録的な物質的被害をもたらしました。中国では推定260億ドル-300億ドルの被害、エチオピアでは、GDPが38%縮小、貧困率も25%増大すると推定されています。1970年以降に起きた大きな災害は7,000件以上、死者は少なくとも250万人、被害額は少なくとも2兆ドルです。ゆえに、災害リスクの軽減という湿地の特性を考えれば湿地は生態系の中でももっとも貴重といえます。

一方、生物多様性条約第4次国別報告書では、多くの締約国が湿地サービスの喪失によって莫大な経済的コストがかかり異常気象への脆弱性が増したことを認め、湿地再生への注目度が高まりました。

2008年5月にドイツで行われた第9回生物多様性条約締約国会議(COP9)では、気候変動で湿地が果たす役割をはじめ、科学的、政治的にラムサール条約の卓越した指導的役割が確認されました。2010年10月に日本で開催される第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)は、この協力関係が2010年以降も継続する土台となることでしょう。すなわち、「湿地を守る‐気候変動への答え」というテーマは、生物多様性保全と人間のニーズは密接につながっているという強いメッセージを再確認するものです。

2010年世界湿地デイ プレスリリース