保全活動

両生類の3分の1が絶滅の危機に‐病原菌と生息地の破壊が深刻

2009.08.28

絶滅の危機にある皮膚が透明なカエル

Hyalinobatrachium pellucidum 
絶滅の危機にある皮膚が透明なカエル
 Photo:©Luis Coloma

数年前から両生類の減少については唱えられているが、実は1980年代以降、全世界で両生類は劇的に減少し、現在では絶滅という深刻な危機に直面している。両生類のうち三分の一が絶滅の危機にさらされているが、この比率は他の哺乳動物や鳥類、魚類などに比べ格段に高い。国際自然保護連合(IUCN)の両生類専門家グループ(ASG)の共同代表であるジェームス・コリンズ氏は「世界中の両生類は生存をかけた戦いにおいて非常に苦しい局面を迎えている。」と述べている。

今月、ロンドンで行われた「第1回両生類ミニ・サミット」では両生類が絶滅の危機に陥った二つの要因が明らかにされた。ひとつはツボカビという菌類への感染であり、もう一つは両生類の生息地の破壊である。このツボカビによる感染症は両生類の敏感な皮膚を蝕むだけでなく、致死率も非常に高い。また、感染力も強く、たとえば感染した個体が飼育されていた水槽の水をむやみに野外に流すとそこに棲む両生類は簡単に感染してしまう。近年、珍しい両生類をペットとして飼育することが流行しているが、飼育方法や取り扱いを誤ると感染を拡大させてしまう。このような菌類による感染という事態を重く見たロンドン動物学協会(ZSL)は、ツボカビ等の菌類に対して有効な処置の研究が最優先であると宣言した。

最近の科学者の研究により、両生類の中にはカビに対する抗菌物質を持っている種類がいることが確認された。更なる研究として、全ての両生類にこの抗菌物質を与えられるようにしようという試みがある。もしこの研究が成功すれば、絶滅の危機に瀕している両生類を救うことができるだろう。両生類保護同盟(ASA)はこの研究を緊急に優先すべき課題だとしている。 しかし、仮に菌類への感染が抑制されたとしても、彼らの生息地が保護できなくては危機を脱することはできない。両生類はほとんどの大陸に生存していながら、生息地を奪われている。生息地を保護しなくてはならない一方で、アジアなど産業発達が顕著な国では、人間社会の急速な発達・拡大が進んでいる。このままでは、生息地の破壊を食い止めることは難しい。 さらに、気候変動、外来種、ペット取引、環境汚染なども両生類の生存を脅かしている。

両生類の急激な減少は、地球上の他の生物に対しても良くない兆候かも知れない。地上と水中で生息する両生類は、皮膚が直接酸素と水を吸収するため、汚染や気候変動などによる環境変化を最初に感知できる生物かもしれないのである。 我々はそのサインにどのように応えていくべきであろうか。

Written by Naoko Akiyama