保全活動

野生絶滅種のコシガヤホシクサ、野生復帰へ向け出芽

2009.08.06

コシガヤホシクサ(筑波実験植物園の栽培株) 国立科学博物館提供

国立科学博物館と環境省は、野生絶滅していたコシガヤホシクサ(ホシクサ科)を、世界で唯一の自生地であった茨城県下妻市砂沼で発芽させることに成功しました。動物の野生復帰ではトキやコウノトリなど有名な例もありますが、コシガヤホシクサの野生復帰が成功すれば、野生絶滅植物の野生復帰として稀少な例になります。

ホシクサは、草の頭部の花が点在している様子を星にたとえて「星草」だといわれ、「干草」とは区別されます。環境省のレッドデータブック(2000年から2006年の間に刊行)によると、コシガヤホシクサの野生絶滅の他にも、絶滅の心配されているホシクサの種が20種以上あります。タカノホシクサ・ヒュウガホシクサの2種の絶滅も確認されています。

その中でもコシガヤホシクサは1938年に埼玉県越谷市で発見されたことが名前の由来。水位が高い間は水中で成長し、水位が下がる秋頃に水上に花を咲かせ種子をつけます。 砂沼では1975年に発見されましたが、1994年からその年の水不足を背景に年間を通して高水位を維持することになりました。花は水上にないと咲かず種子も作れない上に一年草であるため、コシガヤホシクサは野生絶滅となりました。

そこで同博物館筑波実験植物園では、2008年から環境省と共同で行う「生息域外保全モデル事業」の一つとしてコシガヤホシクサの野生復帰を目指してきました。関係者の協力のもと、絶滅の明らかな原因であった水位環境を改善した他、砂沼へ種子をまく実験などを行ってきたところ、発芽が確認されました。

ひきつづき筑波実験植物園では、生息域外での長期的保存方法である超低温保存方法の研究を続けるなど、安定した保全を目指していく予定です。

国立科学博物館プレスリリース(2009年7月9日)

環境省プレスリリース(2009年7月9日)