星野智子/いつも、どこかで、感じるいのち

音楽を生物多様性的に考えてみる。

2009.09.17

小林研一郎氏の指揮するオーケストラ

小林研一郎氏の指揮するオーケストラ。楽器の多くは森や動物の恵みからできています。Photo:©Tomoko Hoshino

オーケストラによる交響曲の演奏会に時々行っています。指揮者の小林研一郎氏の大ファンというのが最大の理由ですが、なぜ好きなのかというと、演奏者のみなさんの音をまとめて素晴らしい音色を生み出し、演奏者と観客の心を一つにする空間が創り出されている時に何とも心地よい幸福感を感じられるためです。
小林氏は演奏終了後、いつも決まって演奏者をパートごとに紹介します。素晴らしいハーモニーがどのような楽器で何人が演奏して構成されているかを知ることができます。このような演奏会に行くまで、耳に聴こえる音を一つの塊としてしか認識していませんでしたが、パートごとの音や演奏者の顔を知ることで、それぞれの音がうまく調和し、素晴らしい音色が響いてくるのだと実感できるようになりました。

「調和」これって生物多様性の世界ではつねに当たり前のように営まれているのではないでしょうか。一つ一つの生物が自分の命を輝かせながら、周囲の命も支え合い、バランスを保ちながらその場の調和を生み出しています。その様子を人は美しいと感じたり、そこから生まれる恵みをいただいたりしているのでしょう。交響曲にもそれに似た美しさがあるから人は音楽によって癒されるのではないかと、演奏を聴きながら感じました。

それから、演奏に欠かせない楽器ですが、特に弦楽器は森や動物の恵みのおかげでできているものがほとんどです。バイオリンやチェロは森で長い間をかけて育った樹木から作られていることを思うと、たとえ都会のコンサートホールにいても森の息吹を感じられるような思いを馳せることができます。きっと著名な作曲家たちも森や湖の美しい風景の中で音のヒントをもらったのでしょう。ベートーベンの「田園」など自然の美しい情景が目の前に浮かぶようです。

音楽も生物多様性の恵みから生み出されているのだなぁと思うと、素晴らしい音をありがとう、と自然に対してなお一層感謝したくなります。癒しの時間を満喫できる演奏会にまた行くのが楽しみです。

星野智子

星野智子(ほしのともこ)

獨協大学外国語学部卒業後、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」やエコ・リーグ立ち上げ等に関わる。2002年のヨハネスブルグ・サミット、「持続可能な開発のための教育の10年」推進運動、2008年のG8サミットの環境NGO活動など、NGO・NPOのネットワーカー。地元の稲作体験企画や文化活動にも関わる。(特活)アフリカ日本協議会 理事、NGOビレッジ 幹事、(特活)日本NPOセンター 評議員。地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)勤務