道家哲平/生物多様性条約の半歩先

生物多様性条約の半歩先

2009.04.22

生物多様性条約の半歩先01

Photo:©財団法人日本自然保護協会

みなさん、こんにちは

今回から数回にわたり投稿することになりました道家といいます。わたしは、日本自然保護協会の職員として、国際会議への参加やIUCN(国際自然保護連合)の日本委員会の事務局などを運営してきました。このコラムのなかで、自身の経験の中から分かりやすくお話をしていきたいと思います。

タイトルにつけた「生物多様性条約の半歩先」は、これから、日本で少しずつ話題になっていく「生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)」について、条約からちょっと踏み出しながら、国際的な話を紹介したいと思ってつけました。

第1回目は、この記事の中心話題となる「生物多様性条約」についてです。といっても、生物多様性条約を解説するウェブサイトはいろいろなところにありますので、ここでは、私の言葉でこの条約を表現するとどうなるかという点を紹介したいと思います。

世界的にはこの条約は「地球の上に生きる生命(いのち)の条約Convention for Life on Earth」といわれますが、国際条約は国と国の間で結ばれた約束事ですので、私はこの条約を、「世界中の人々が誓った3つの約束」とよく説明します。

一つ目の誓約
この地球の上で、これからも私たちや私たちの子供は生きていこうという世界の約束

二つ目の誓約
大地の凸凹が織り成す多様な環境とそこにすむ多様な生命と一緒に行きていこうという世界の約束

三つ目の誓約
そのために、目標を作り、ルールを作り、やるべきことを決めるという世界の約束

白神山地を世界遺産にする(世界遺産条約)や釧路湿原をラムサール登録湿地にする(ラムサール条約)という具合に分かりやすい成果が見えづらいといわれます。2年に1度開催される締約国会議では、200~300ページにおよぶ説明文書を元に、同じく200ページ近い文字だらけの決議文書が採択されるだけです。

これらの難解な文書を読み解くのは大変な作業なのですが、私が文章の解釈や国際会議の議論で迷った時は、必ず上の約束事に立ち返って生物多様性条約で起きている交渉や文書を見つめなおすことにしています。これは日本自然保護協会の活動理念とも共通したものです。

幅広いテーマが話題になり、多様な顔を持つ生物多様性条約の半歩先をこれから紹介していきます。私が条約をどのように理解しているかというのはこれからの記事を見ていくにあたって読者の皆さんの参考になると思って紹介しました。

道家哲平

道家哲平(どうけてっぺい)

1980年東京生まれ、千葉大学大学院修士課程修了・人文科学(哲学)専攻。2003年より、日本自然保護協会(NACS-J)保全研究部に所属。IUCN(国際自然保護連合)日本委員会の事務局担当職員。生物多様性に関する国際動向を紹介するIUCNセミナーの企画運営・普及啓発などに携わる。生物多様性条約(CBD)や2010年のCBD-COP10に向けたNGOのネットワーク化に尽力中。生物多様性条約市民ネットワーク運営委員、生物多様性フォーラム評議員。