生物多様性とは

生物多様性とは

Photo:©Cristina Mittermeier

地球は生命(いのち)の惑星です。

現在までにみつかっているすべての星のなかで、生命に満ち溢れている星は、この地球ひとつだけ。

"あなた"が誕生するまでには、じつにさまざまないのちの積み重ねがありました。
人という生命種として何世代もかけて"あなた"にたどり着いたのです。

約40億年前に地球上に生命が誕生してから、人類という種が生まれる前にも、さまざまな生命の進化の試みが行われてきました。

現在、地球上にわかっているだけでも約180万種の生き物が生きています。
さまざまな場所にその地域に適応してきた多様な生命が育まれ、多様な種の間でいのちの循環が形成され、安定した状態が築かれてきました。

"あなた"の毎日の生活も、さまざまな生命に支えられています。
いのちを直接いただく毎日の食事はもっともイメージしやすいものかもしれません。
生物多様性は、植物の成長のための土壌や生き物が生息する環境を形成し、昆虫など小動物は花粉を媒介することで果物や野菜の実りをもたらしてくれます。

さらに人間の生活の視点からみてみましょう。

衣類には綿、麻、動物の毛や皮。医薬品にはどこかの熱帯森でとれた植物から抽出した物質。化粧品にも動植物由来成分や香水の成分。新幹線など乗り物にも、生き物から学んだ形状が研究されています。

もちろん、人間だけでなくすべてのいのちが生物多様性に支えられています。
毎日呼吸する大気や飲んでいるきれいな水を作り上げてくれるのも森林などの働き。気候が安定している状態も、森林や海洋の生態系がもたらしてくれているのです。つまり、生物多様性はわたしたちの存在そのものを支えてくれている基盤なのです。

ところが、私たちの生活が豊かに便利になる一方で、世界中で開発の規模と速さが増し、生息地を失ったり環境が悪化したりして、絶滅の危機に直面する種が急激に増えました。

生物多様性の喪失は、世界規模で問題になっています。グローバル化により、自分たちが住む場所から遠く離れた場所の生物多様性に頼る人たちも増えています。

食糧を輸入することは、外国の生物多様性の働きに頼っていることです。生産地での水や窒素の循環が変化して起こる問題が、だんだん取り上げられるようになっています。

木材の生産地では、森林が破壊され、生息地を失う野生生物が増え、森林のもっていた貯水・水涵養・土壌保持などをはじめとするさまざまな恩恵が減少しています。

人間社会を支える多くの産業が生物多様性の上に成り立っていることを忘れることは、将来、その恩恵を失うことにつながります。

現在、だいたい20分に1種の生物種が絶滅しているといわれています。

恐竜大絶滅まで、地球上に5回の大絶滅期があったといわれていますが、現在は、「第6回目の大絶滅期」だと警告されています。
その原因を作り出しているのが自然でなく人間ということころが、今回の絶滅期の特徴です。

生命の循環は実に巧みにできているので、人工的に生き物を移動させたり単純に植林するだけでは、もとの生物多様性を取り戻すことはできないのです。

十分に設計された回復への取り組みはもとより、残された、森林や海洋などの生態系を守ることがとても重要です。

世界規模で生物多様性の重要性が認識され、1992年に生物多様性条約ができました。
現在ほとんどすべての国ともいえる191カ国が署名しています。
種、生態系、そして遺伝子のレベルで、生物多様性を保全し、持続的に利用し、遺伝資源の利用からの利益を公正・衡平に分配していくことを目標として合意しているのです。

長い年月をかけて地球が育んできた自然遺産としての生物多様性を次世代に受け継ぐために、個人、政府、企業、NGOなど、多様な人々や組織が生物多様性保全に取り組む必要があります。

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